行政の方へ
1 <PL環境の現状>
2<欠陥とデザイナーの関係>
3.<PL法対策は「PL対策」に>
4.<被害者救済について>
1.<PL環境の現状>
平成7年、いわゆる消費者保護を謳った、日本では画期的な法律「製造物責任(PL)法」が施行されました。
その後、この法律に事業者が対応するために、学識経験者や法律家、保険会社や事業者団体などが主体となり「製造物の責任=製造者の責任」という解釈の元、消費者の損害賠償請求やその訴訟に対する法的対応に主軸を置いた事業者指導を行ってきました。
これが、今までの「PL法対策」と言われる対策で、「製造者や輸入事業者がPL保険を契約していれば、最終的に被害者救済はその保険で対応できる」という構造でした。
しかし、当時はまだインターネットもパソコンも普及しておらず、それらの対応はIT社会を想定してはいませんでした。
PL法が制定された平成7年から早14年、時代は来年で「21世紀10年目」を迎えます。
この間「インターネット」は「web」という新たな環境に入り、携帯電話の高機能化、パソコンの低価格化やモバイルなどの普及により、大人も子供も一人一 台端末を持つ、いわゆる「情報社会」となり、情報を隠すことはもはや不可能となりました。さらに、世の中は積極的に情報を開示する姿勢、例え事故情報など のネガティブな情報でも、企業が再発防止に取り組むプロセスを消費者に向け、わかりやすく開示することなど、PL法対策とは異なった対応策を求めるように なりました。
平成22年4月、いよいよ戦後の経済復興のための「事業者保護政策」が、「消費者保護政策」に転換します。
約15年前の「PL法対策」は、もはや通用しなくなっています。
2.<欠陥とデザイナーの関係>
PL法の欠陥の定義では、
(1)設計上の欠陥
(2)製造上の欠陥
(3)表示上の欠陥
が規定されています。
一般的に「欠陥」は、企業の「技術力不足」により起こるものと思われがちですが、技術的判断は試験検査、数値判断に依存しているため「基本的な製造上の基準」にはなるものの、その数値と安全性は整合しません。
さらに、事業者と使用者では「視点」が異なるため、事業者が正しいと思う安全対策が、使用者にとっての「安全な構造」であったり、「誤解を招かない表示」であるとは限りません。
特に(1)や(3)の欠陥が起こる原因は、技術者より「デザイナー」によるところが大きく、(3)においては、その傾向が顕著です。
たとえば、監督省庁が異なる「基準=マーク」の表示は、「消費者の視点」とは異なり、安易にデザイナーが「○○マークが付いていると安全」とか「○○マー クの付いているものはPL保険が払える」などの記載文書、文言などの表示・表記を行うと、消費者誤認を招く「表示欠陥」となってしまいます。
さらに、表示方法に不備があり、「使用者が誤認するような表示」があれば、「使用者の誤使用による事故」を予防することはできません。
このように、「製品欠陥」と「デザイナー」には、深い関係があるのです。
3.<PL法対策は「PL対策」に>
PL対策は「PL事故を起こさないための事業者のと消費者の双方の努力」であり、「使用者の誤使用による事故などは、いかに販売する側(製造者から流通小 売に関わる全ての事業者)が、消費者に説明責任を果たしているか、その方法や質がその後の結果を大きく影響する」と、当協会では考えています。
その考えの元、当協会では、主に現場で設計や製造、デザインなどの表示作業を行うデザイナーの方々に対し、「取扱説明書」を軸とした「正しい表示方法」を 指導するため、どこの業界団体にも影響されない独自のガイドラインを作成、公表し、デザイナーの教育指導に用いています。
ガイドライン策定においては、当協会の運営するSNS(ソーシャルネットワーキングシステム)を活用し、全国の会員からの提案や意見、さらに各地域の事業 者や行政や団体などとの情報交換や「リスクコミュニケーション」を行い、毎年3月に研究成果を取りまとめ、結果を毎年4月の総会にて「最新!PL対策導入 ガイド」として公表、協会ホームページ等にて開示しています。さらに「製品情報を正しく伝える」という事業者の責任を全うするため、いわゆる広告表示など も研究対象とし、業法などに精通した会員を軸に様々な法的な解釈を元に、会員の意見を取り入れながら、事業者側に「使用者の誤認を防ぐ正しい表示・表記方 法」を指導しています。
4.<被害者救済について>
一方、PL対策においては事故予防と同時に、事故発生時において、いかに迅速に「被害者救済」を行うかが重要です。
社会的にもADRのあり方が問題視されていますが、製品事故中、とりわけ「誤使用においての過失割合などの判断」は法的な対応や事故製品の検査などでは、「消費者の使い方」という問題に対応することができません。
当協会では、上記の様々な問題を解決するため、事業者が抱える問題点を表す「検証プログラム」を独自に開発、第三者の視点で客観的に製品の説明書やPL環境を判断することで、事業者指導の効果判定、現状の判定などを行っています。
さらに、このプログラムを用いて「誤使用などの事故においての加害事業者と被害者との過失割合算定」に活用、その効果判定実証を研究しており、すでに、東 京、大阪、仙台、新潟では、専門教育を受けた会員により、事業者指導、業界指導、被害相談などが事例を積み上げ、正しいPL対策を行うことで、事業者負担 が軽減し、事業の活性化になることを証明しています。
将来的には、たとえばネットショップ等で「責任主体」が不透明になった場合でも「製品事故被害者救済」が行える、たとえば「自動車の被害者救済制度」である自賠責のような「善意の民間事業者による社会インフラ」を構築することまでを視野に入れ、様々な研究を行っています。
あらゆる事業者に対し、広告から製品表示までを正しく指導し、事業活性を行うと共に、万一の製品事故、特に「製品の誤使用による事故」の早期解決を具体的に指導できるリスクコミュニュケーションを活かした第三者機関は、国内では当協会以外にはありません。
ぜひ、当協会へのご理解を賜り、「製品安全文化」の熟成実現に向け、当協会をご活用ください。
平成21年8月15日
内閣府認証NPO法人
日本テクニカルデザイナーズネットワーク協会
理事長 渡辺吉明

